6課 荒天時の操縦
6-1 荒天時の操縦
- 1 風浪に対する船首角
- (1)風浪に対して直角に航行波を船首方向から受ける場合は、他の方向に比べて転覆などの危険度は最も低くなる。しかし、波に船首が突込む危険や、ピッチングの発生、ヨーイングの発生、また持ち上げられた船首が水面にたたきつけられる衝撃が大きいなど、波の状態に応じた速度の選定及び絶え間のない速力調整が必要な経験を要する操縦が必要となる。
- (2)風浪に対して斜めに航行波を斜め前方(波の進行方向に対して30度程度)から受けるように航行すると、ピッチングなど発生しにくく、また、衝撃を和らげることができる。ただし、船首が波下側へ落されると、波と平行になり最も危険な状況になるので、角度を保つように操舵する。また、速度が速いほど波の衝撃が大きく船首が落されやすいので、舵がよく効く範囲内で減速する。
- 2 横波に対する注意
- 船にとって最も危険な波が横波である。横から波頭の崩れた大きな波や巻き波を受けると一瞬にして転覆する危険がある。また、大きな横波でなくても、波の周期と船体の横揺れ(ローリング)の周期が同じになると、横揺れが激しくなり、思わぬ危険な状態になることがある。
- 波が大きい海域で針路を変える場合は、できるだけ横波を受けないよう、波の状態をよく観察し素早く変針する。
- 3 追い波に対する注意
- 追い波で特に危険なのが、ブローチングである。これは、波の斜面を下っているときに舵が効かなくなり、船尾が横滑りして、波に対して横倒しの状態になることで、まともに横波を受けるため、転覆の危険性が非常に高くなる。
- 追い波の中を航行する場合、船の速力と波の速さとの関係で操縦方法が変わる。モーターボートのように速力の速い船舶の場合は、波の斜面を上るときは増速し、次の波に突っ込まないよう波を越える直前から減速して船体が跳ねないよう絶えず速力調整し、水面をなぞるようにひとつひとつ波を超えていく。
- 速力があまり早くない場合は、波の進行速度と同じくらいの速力とし、波の背面(登り斜面)に止まるようにする。波前面の斜面に乗ってサーフィン状態になると、船首を前方の波に突っ込んだり、前述のブローチング状態になったりして危険である。横倒しにならないよう、波を真後ろから受けるように保針するとよい。
- 4 三角波に対する注意
- 三角波は、進行方向が異なる複数の波がぶつかったときにできる波頭の尖った不規則な波で、台風の中心付近などで発生するが、川の流れと打ち寄せる波がぶつかる河口付近や、風浪がある防波堤付近、岬の先端のように回り込む波がぶつかる所などでも発生する。波の方向が不定で波長も短いため小型船舶にとっては非常に危険な波で、発生しそうなところは迂回するなど近づかない。航行しなければならないときは、波の状況を観察し、小波のときに素早く通過するようにする。
- 5 避難
- (1)避難場所の選定航海計画を立案するときに、必ず避難場所を選定しておく。
- (2)同乗者に対してライフジャケットの着用を再確認し、転落のおそれのない場所に姿勢を低くし何かにつかまっているように指示する。
- (3)救命浮環など、もしもの場合に備えていつでも使用できるようにする。
- (4)船内やデッキの上にある移動しやすいものを固縛する。
- (5)ハッチや窓を確実に閉める。
- (6)ビルジポンプの作動や排水孔を確認する。
- (7)現在位置を確認し、帰港するか、避難港へ向かうかを決める。避難に適当な港やマリーナがない場合は、島陰や岬の陰など、風波の影響が少なくうねりの入りにくい錨地を探す。
- (8)通信手段がある場合、現状や避難行動予定を連絡する。

HOME
前のページへ