操縦の基本 | 学科  ボート免許の取り方 

第3章の1 一般小型船舶の運航
第1課 操縦一般

1-1 操縦の基本
1 安全確認
(1)小型船舶を発進させる場合は、必ず「プロペラまわりの安全を確認」すること。
(2)落水者や遊泳者がいるときは、プロペラを回さないこと。
(3)浮遊物に十分注意すること。
(4)前進・後進・変針・停止する場合は、前後左右の安全を必ず確認すること。
(5)航行中は、周囲の状況を確認し、常時適切な見張りを行うこと。
2 始動の方法
(1) 通常の始動リモコンレバー中立を確認し、エンジンキーをONの位置まで回す。次にエンジンキーをSTARTまで回すことでスターターモーターが回転し、エンジンが始動する。
(2) 寒冷期等の始動寒冷期等で通常の始動ができない場合、チョーク装置がある機種については、チョークを作動させ始動する。
3 停止の方法
(1) リモコンレバー中立を確認し、エンジンストップレバーやボタンあるいはキーをOFFの位置に戻し停止する。
(2) 長時間航行した後の場合は、アイドリング状態で冷機運転を行ったのち停止する。
4 基本操作
(1)操舵船の進む方向を操作することを操舵という。操舵は推進方式の違いによって異なる。1)船外機船ハンドル又はバーハンドルで船外機の向きを変えることにより、プロペラの推進方向を変えて操舵する。2)船内外機船ハンドルで推進器(スターンドライブユニット)の向きを変えることにより、プロペラの推進方向を変えて操舵する。3) 船内機船ハンドルや舵柄でプロペラの後方に設置された舵板の向きを変えることにより生じる水圧の差によって操舵する。4) ウオータージェット船ハンドル又はバーハンドルでジェットノズル(噴射口)の向きを変えることにより、推進方向を変えて操舵する。5)操舵の基本操作① ハンドルで操舵する場合、ハンドルを切った方向に船首が向く。② ハンドルで操舵する場合、ハンドルの右(左)一杯から左(右)一杯までの回転数を確認し、中央位置を確かめておく。③ 船外機のバーハンドルや船内機の舵柄(チラーと呼ぶことがある)の場合は、バーハンドルや舵柄を動かした方向とは逆方向に船首が向く。
(2)リモートコントロールレバー1)シングルレバー方式1本のレバーでクラッチとスロットルの両方を操作することができる方式である。
① 前進する場合
レバーを中立の位置から30度程度前方へ倒すと、エンジンはアイドリング状態のままで前進にクラッチが入り、その後はスロットルとして作動する。
② 後進する場合
後進の場合は、レバーを中立の位置から30度程度後方へ倒すと、クラッチが後進に入り、その後はスロットルとして作動する。2)ツインレバー方式クラッチとスロットルを別々のレバーで操作する方式である。① クラッチレバーを操作するときは、スロットルを必ずアイドリング状態にする。② クラッチレバーを中立の位置から前方に倒せば前進に、後方に倒せば後進に入る。③ スロットルレバーはクラッチを作動させた後、操作する。3)レバーの操作方法① クラッチを作動させる場合は、いずれの場合も、一動作でスムースに操作する。② スロットルレバーの操作はゆっくりと、かつ、滑らかに操作する。事故防止など緊急の場合以外は、急な操作は禁物である。
5 操縦特性
(1)船舶の航走姿勢1)滑走型① 微速から低速時は、停止して水面に浮かんでいる姿勢と同じ状態で航走する。② 低速から中速時は、徐々に船首が水の抵抗で持ち上がり船尾が沈んだ姿勢(ハンプと呼ぶ)となって航走する。エンジンへの負荷が大きく、また、前方が見えないのでエンジンの出力を上げてハンプ状態から早めに脱するのがよい。③ 中速から高速は、徐々に船首が下がり、船体全体が持ち上がって船底後半部が水に接した姿勢(滑走状態という)で航走する。④ 滑走状態になると、水の抵抗が少なくなりエンジンの回転が上がるので、適切に調整する。
2)排水型① 微速から高速まで、船体の姿勢はほとんど変化しない。② 速度はエンジンの回転数に追従する。
3)半滑走型① 微速~中速は、排水型と類似した状態で航走する。② 中速~高速は、船体が持ち上がるが、滑走型のような滑走状態まで至らず、船底接水面積が非常に大きい滑走型ということができる。滑走型と半滑走型の明確な区別点はなく、通称区別しているということである。
4)惰力① 船舶にはブレーキはなく、船体にかかる水の抵抗がブレーキとなり停止する。
② 必要に応じて後進を使用して停止する。
    • (2)かじ効き
      • 1)速力との関係
      • 船の型や推進方式にかかわらず、速度が速いほど舵効きはよい。
    • 2)推進方式との関係
      • ① プロペラの方向を変えて操舵する船外機船や船内外機船等は、舵板の向きを変えて操舵する船内機船よりかじ効きがよい。
      • ② 舵板で操舵する船内機船は、特に後進のかじ効きが悪い。
      • ③ 水上オートバイのようなウオータージェット船は、推力のない状態ではほとんど舵は効かない。
      • ④ 惰性のみで動いている場合、舵板の場合、船内外機船、船外機船の順でかじ効きは悪くなる。
    • 3)外力との関係
      • ① 波を船尾方向から受ける場合(追い波)は、かじ効きが悪くなり、船首方向から受ける(向かい波)の場合は、かじ効きが良くなる。
    • ② 潮流などの流れのある場合は、流れに向かって航行する場合かじ効きが良くなり、流れに沿って航行する場合は、かじ効きが悪くなる。
  • 6 旋回時の船体傾斜
    • (1) 滑走型
      • 滑走型は内側(舵を切った側)に傾斜する。
    • (2)排水型
      • 排水型は外側(舵を切った反対側)に傾斜する。
    • (3) 半滑走型
      • 低速時は、排水型と同様に外側に傾斜し、高速時は内側に傾斜する。
    • (4) キック
      • 旋回のため舵を切ると、船尾が外側(舵を切った側と反対)に押し出される。この作用をキックといい、キックは、直近に発見した障害物を避けるときに利用することができる。
  • 7 外力の影響
    • (1)風
      • 1)直進時に、船舶の横方向から風を受けた場合、風下側に針路がずれる。
      • 2)水に接する面積の少ない船型ほど、風の影響を強く受ける。
      • 3)低速ほど影響は大きい。
    • (2) 波
      • 1)波により船首が振れ、直進が難しくなる。
      • 2)波の状況により燃料消費量が大きく変化する。
      • 3)ローリング(横揺れ)、ピッチング(縦ゆれ)、ヨーイング(船首ゆれ)などが発生する。
    • (3)潮流等の流れ
      • 1)順潮で航行する場合、逆潮で航行する場合で航行所要時間に大きな影響を受ける。
      • 2)流れの速い潮流は、10ノットに及ぶ場所があり、航行時間帯を考慮しなければならない。
    • (4)プロペラの作用
      • プロペラが回転するとプロペラの上部と下部にかかる圧力の差により船尾を横方向に動かす力が発生する。1軸右回り船(プロペラが1つで船尾から見て右方向に回転)は、前進時は船尾を右に、後進時は船尾を左に振るように作用する。この作用は後進時に強い。
    • (5)惰力(行き足)
      • 1)停止惰力
      • 船にはブレーキがなく、水の抵抗を利用して停止する。クラッチを中立にして前進の推進力が無くなってから船が停止するまでの惰力を停止惰力といい、停止する距離は、速力、船の大きさや重さ、風波等の外力の強さで変わる。
      • 2)最短停止距離
      • クラッチを中立にした後、後進に入れてエンジンの回転を上げると停止距離を短くすることができる。後進を最大限に使用して停止するまでの距離を最短停止距離という。ただし、前進から急激に後進に入れる操作は、エンジンが停止したり、クラッチや推進軸系の損傷を起こす場合がある。したがって、緊急事態以外は通常行わない。