2-3 安全な航行をするための船長の心得
- 1 航海計画の立案・水域調査
- (1)航海計画を立てる1)ボートの能力、船長や同乗者の能力などを考慮して無理のない計画を立てる。2)近くを航行するときや航行経験のある水域を航行する場合でも、必ず計画を立てる。3)何かあった場合の、対応案を考えておく。① 係留できる場所② 荒天となった場合、避難できる場所③ エンジンの修理ができる場所④ 必要な物品を購入できる場所⑤ 燃料補給のできる場所4)計画は、必ず家族やマリーナなどに連絡しておく。① 船長及び乗船者の氏名・住所・連絡先② 行動予定:目的地・寄港予定地・行動予定時間③ 帰港予定日時④ 船名・船の種類や特徴等
- (2)航行予定水域の調査をする1) 潮汐や潮流の時刻等(新聞・潮汐表など)2) 水深、障害物の位置、目標物(海図、ヨット・モーターボート用参考図)3) 入港する港の状況(港泊図、プレジャーボート・小型船用港湾案内)
- 2 機関・船体の点検の励行
- 出航する前に、必ず船体や機関の点検を行う。十分な点検をし、気になるところは必ず整備してから出航する。長期間整備していないときは、試運転を行い、状況により専門業者に点検を依頼する。
- 3 気象・海象情報の収集
- 出航前に、気象情報(天気、風向、波の高さ、警報、注意報)を収集する。気象情報は、テレビ、ラジオ、新聞、電話、インターネットなどを利用して集める。
- 4 地域情報の収集
- 航行予定水域の情報(自主規制、航行禁止区域、定置網の設置場所など)を収集する。地域情報は、地元のマリーナやマリンショップ、あるいは漁協などを通じて入手し、都道府県条例などは、各自治体のホームページで入手する。
- 5 連絡体制の確保
- (1)携帯電話(通話可能範囲を確認しておく)
- (2)アマチュア無線
- (3)マリンVHF
- (4)緊急連絡先(海難発生時の「118(海上保安庁)」)
- 6 服装に対する注意
- (1) 軽快で動きやすいもの
- (2) 素肌の露出の少ないもの
- (3) 天候の急変に対応できる服装の準備(晴れでも雨じたく、夏でも冬じたく)
- (4) 履物は、デッキシューズや運動靴
- 7 体調管理
- 体調が悪い場合は、注意力が散漫になり、判断力が低下するなど事故の原因となる。前日に十分な睡眠を取る、空腹で乗船しないなど体調管理に努める。また、救急医薬品を船内に常備しておく。
- (1) 体調の悪い人がいる場合は、出航を中止する、または、体調の悪い人は陸に残し出航するなど適切な判断をする。
- (2) 航行中、体調を崩す人があれば帰港して下船させ、再出発する。または、寄港して下船させるなど適切に予定を変更する。
- 8 同乗者の安全確保
- (1) 必ず救命胴衣を着用させる。
- (2) 座席に着席させる、または、手すりなどに必ず掴まらせる。
- (3) 船外に身体を乗り出させない。
- (4) むやみに移動させない、移動するときは低い姿勢で手すりなどに掴まるよう指示する。
- (5) 大きな波などを横切る場合は、同乗者に知らせる。
- (6) 発進時、増速時、変針時、減速時は、状況に応じて同乗者に知らせる。
- 9 最大搭載人員の厳守
- (1)船舶検査証書に記載された定員(最大搭載人員)を厳守する。
- (2)12歳未満の子供は、2名で定員1名と算定する。
- 10 航行中の注意
- (1)無理をしない航行中は、気象・海象の変化に注意し、天候が悪化しそうになれば、目的地に向かう途中でも直ちに帰る、または避難するなど、安全を第一に判断する。危険な状況になった場合、それを乗り切ることも船長の能力であるが、危険な状況になる前にそれを察知して回避することが船長としてより大切である。
- (2)見張りの励行プレジャーボートの事故のうち、見張りをしていなかったことが原因となる事故が多発している。海上では、航行する船舶をはじめ、浅瀬や岩礁、定置網などの漁網や漁具、ゴミなどの漂流物といった航行の支障となるものが数多く存在する。水上では航行中、錨泊中を問わず見張りが最大の安全対策である。
- (3)ルールを守る航行中は海上交通ルールを守る。また、法令や都道府県条例に定められた交通ルール以外にも、ある地域で限定的に行われている申し合わせ事項(ローカルルール)や社会通念上のルール(モラルやマナー)についても遵守する。
- (4)他の水域利用者に対する配慮水上は、レジャーだけでなく多種多様な目的を持った人々によって利用されている。相手を理解し、共存を図ることで、事故やトラブルのない快適な水域の利用が可能となる。
- 11 帰港後の注意(入港の連絡、適切な保管)
- (1)入港の連絡出港届を出したマリーナなどに確実に帰港届を提出するとともに、出航前に連絡してあるところはすべて必ず帰港の連絡をする。
- (2)帰港後の手入れエンジンの冷却系等や船体、金属部分を清水で洗浄し、燃料やオイルを補充しておくなど、使用後の手入れをして次回の航行に備える。
- (3) 適切な保管1)係留は、許可された場所で他の船舶の迷惑とならない方法で係留する。2)水上係留の場合は、荒天時などに流出したり、他船に接触したりしないように確実に係留する。3)潮汐の干満を考慮して係留する。4) 桟橋や他船への接触に備えてフェンダーを取り付ける。5)陸上保管の場合は、船底のプラグをはずし、船内に溜まった水を確実に排出する。6)できればシートをかけ風雨が侵入しないようにしておく。

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